「本当は休みたいのに、頼まれると引き受けてしまう」
「断った後、相手に嫌われていないか気になってしまう」
「人に合わせすぎて疲れるのに、どうしたらよいかわからない」
相手との関係を大切にしながら、自分も無理なく過ごせたら。そのように思っていても、いざ頼まれると、自分の気持ちを確かめる前に「大丈夫です」と答えてしまうことがあります。
引き受けてもつらい。断っても、申し訳なさが残る。そんなとき、「断れるようにならなければ」と考えるほど、自分を責めてしまう方もいるかもしれません。
この記事では、アダルトチルドレンという視点も交えながら、断れなさや罪悪感を理解し、そこから生じるつらさを和らげるための考え方をご紹介します。
引き受けても、断ってもつらい

頼まれた仕事を引き受け、自分の仕事が終わらなくなる。不満が浮かんでも、「自分で引き受けたのだから」と飲み込んでしまう。
一方、友人の誘いを断ると、短い返信を何度も読み返す。「怒らせたかな」と気になり、休むはずの時間も落ち着かない。
こうした経験はないでしょうか。
周囲に合わせるあまり、自分の負担が大きくなる状態は「過剰適応」の視点から研究されています。働く成人907名の調査では、拒否を避けようとする状態や自己犠牲的な働き方と、ストレス反応との関連が報告されています[1]。
周囲とうまくやれていても、自分の中では苦しさが積み重なっていることがあります。
断らないことで、何を守っているのでしょうか

「どうして断れないのだろう」と考えると、自分の弱さに目が向くかもしれません。
でも、断らないことには、自分にとって大切な働きがある場合もあります。
- 相手とのつながりを感じられる
- 衝突や気まずさを避けられる
- 誰かの役に立てたと感じられる
たとえば、子どもの頃、自分の意見を言うと怒られた。家族の機嫌をうかがう必要があった。そんな経験から、相手に合わせることが安心を守る方法になっていたのかもしれません。
アダルトチルドレン(AC)は、こうした家庭での経験と、大人になってからの生きづらさを理解するための言葉です。医学的な診断名ではありません。
大学生299名の研究では、本人が捉えた母親の過保護な養育態度と、親への過剰適応に関連が見られました[2]。
ただし、成人後の断れなさの原因を証明した研究ではありません。
現在の職場の立場や、相手との関係も影響します。「断れないからAC」と決めつける必要はありません。
大切なのは、ご自身にとっての意味を確かめることです。
「私は、関係が壊れるのが怖くて断らなかったんだ」
そんな気づきが、自分の見方を変えるきっかけになることもあります。

大切なものを、別の方法でも守れないか
自分が守っているものに気づいたら、今より負担の少ない方法がないかを考えてみます。
友人とのつながりを大切にしたいなら、会う時間や頻度を相談できるかもしれません。
「会いたいけれど、今週は疲れているんだ。来週、短い時間ならどうかな」
仕事で役に立ちたいなら、担当する範囲を相談する方法もあります。
「全部を今日中に終えるのは難しそうです。優先順位を相談してもよいですか」
相手を大切にする気持ちと、自分の負担の両方を考えていくのです。ただし、必ず代案を出さなければならないわけではありません。
すぐに言葉にできなくても大丈夫です。まずは、最近の場面を一つ思い出してみてください。
「引き受けたとき、何にほっとしただろう」
「その一方で、何がつらかっただろう」
答えを急がず、自分の気持ちに気づくところから始めてみましょう。
断った後に罪悪感が残っても、それだけで判断が間違っていたとは限りません。「相手を大切にしたい」と同時に、「今日は休みたかった」という気持ちも大切にしてよいのです。
なお、断ることで脅しや暴力を受けるおそれがある場合は、安全が優先です。一人で対応せず、専門の相談先と方法を考えてください。
カウンセリングオフィスplumでは、その気づきを一緒に探します

「頭ではわかるけれど、相手を前にすると言えなくなる」
「何を守っているのか、一人ではよくわからない」
そのようなところからも、ご相談いただけます。
plumでは、断れないことを「ダメなこと」と扱いません。
断らないことが、ご自身をどう支えているのかを一緒に考えます。
そのうえで、大切なものを別の方法でも守れないかを探していきます。
カウンセラーに気を遣ってしまってもかまいません。
「今、気を遣っている気がします」と表現できるだけでも、ご自身の気持ちを共有する時間になります。言えないときも、無理をしなくて大丈夫です。
断れるようになることだけが目標ではありません。それにまつわる、きつさやつらさが和らぐことを大切にしています。
福岡・薬院での対面/全国オンラインでのご相談
カウンセリングオフィスplumでは、断れなさや、人に合わせすぎるつらさについてご相談いただけます。ACに当てはまるかわからない方も、ご自身のペースでお話しください。
福岡・薬院での対面相談と、オンライン相談に対応しています。
文献
[1]岩永誠・大山真貴子:過剰適応状態尺度作成の試み.日本健康医学会雑誌 32(3),351–359,2023
[2]任玉洁・林雅子:親の養育態度が大学生の過剰適応に及ぼす影響――性差の視点から.パーソナリティ研究 29(1),23–26,2020
※いずれも質問紙調査による関連の報告です。この記事で紹介した工夫や、plumのカウンセリングの効果を検証したものではありません。
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