夫婦カウンセリングを受けたのに、なぜ期待通りにいかないのか?
「このままだと、夫婦関係が壊れてしまいそう」
「もう一度、やり直したい」
そんな思いで、夫婦カウンセリングを受ける方は少なくありません。
実際、カウンセリングを通して関係が大きく改善したり、お互いの気持ちを深く理解できるようになったりするご夫婦もいます。
「やっと落ち着いて話せるようになった」
「こんなふうに気持ちを伝えられる日が来るとは思わなかった」
とカウンセリングの効果を実感する話す方もいる一方で、
「話し合えば話し合うほど、すれ違ってしまった」
「何も変わらなかった。むしろ疲れてしまった」
と感じるご夫婦もいます。
どちらのご夫婦も、決して手を抜いていたわけではありません。
どちらも真剣に向き合おうとしていたはずです。
なのに、なぜ、同じカウンセリングを受けても、これほどまでに結果が分かれてしまうのでしょうか?
本記事では、夫婦カウンセリングを成功に導く夫婦と、そうでない夫婦を分ける決定的な「違い」を徹底解剖します。
その鍵は、夫婦それぞれの「心の姿勢」と「目的の共有」にあります。
この記事では、カウンセリングの効果を最大限に引き出し、夫婦関係を真に前進させるためのポイントについてお話しします。

夫婦カウンセリングがうまくいくために必要な「姿勢」と「目的」

夫婦カウンセリングで関係を改善できるご夫婦には、いくつかの共通点があります。
相手を変えるより、自分にできることを考える
関係を前に進められるご夫婦には、
「相手を変えたい」という思いだけでなく、「自分にも何かできることがあるかもしれない」と考える気持ちがあります。
つまり、自分自身の内面にもしっかり向き合おうとする姿勢があるのです。
反対に、うまくいかないケースでは、「自分は正しい」「悪いのは相手」と考えてしまいがちです。
その結果、お互いに「自分の気持ちをわかってほしい」という思いが強くなりすぎてしまいます。
そうなると、カウンセリングの場は、正しさを主張し合うだけの場になってしまいがちです。
ときには、責任の押しつけ合いになってしまうこともあります。
「自分はなぜこんなに傷ついたのか」
「何を怖れていたのか」
「相手はなぜそのようにふるまったのか」
このように、自分自身の気持ちや相手の背景に目を向ける視点があると、関係の修復は大きく進みやすくなります。
目的がバラバラでは、うまくいかない
もうひとつ、大切なことがあります。
それは、「カウンセリングで何を目指したいのか」を、夫婦で共有できることです。
初めてカウンセリングを受ける夫婦は、カウンセリングの目的が夫婦で違っている場合が大半です。
たとえば、妻は「もう一度、家族としてやり直したい」と思っている。
でも、夫は「できるだけ揉めずに、離婚に向けた話し合いをしたい」と思っている。
このように目的が違うと、同じ時間を過ごしていても、会話はすれ違ってしまいます。
夫婦カウンセリングは、どちらか一方の思いだけでは成り立ちません。
お互いが協力し合い、「カウンセリングで何を話し合い、どうなりたいのか」を、なるべく早い段階で確認しておくことが大切です。
「まずは落ち着いて話せる関係になりたい」
「相手の気持ちを理解できるようになりたい」
そんなふうに、共通のゴールを持つことが、カウンセリングの効果を高めるポイントになります。
利用者の声:正しさをぶつけ合っていた私たちが変わった瞬間(30代女性)
最初の頃は、カウンセリングに行っても、毎回夫と言い争いになるだけでした。
お互いに「自分は悪くない」と思い込んでいて、話しても全然前に進まない感覚でした。
そんなとき、カウンセラーの方にこう言われたんです。
「“こうしてほしい”という要求ではなく、“なぜそれがあなたにとって大切なのか”を伝えてみてください」
その言葉を聞いたとき、すごくハッとしました。
夫の言動も、ただの意地や怒りじゃなくて、その奥にある“不安”や“戸惑い”だったのかもしれないと気づいたんです。
私もそれ以来、「自分がどれだけ正しいか」を伝えるのではなく、「なぜ私はつらかったのか」「どう感じていたのか」を話すように意識しました。
すると、夫の表情も少しずつ変わってきて。
以前より、お互いの話に耳を傾けられるようになった気がします。
夫婦カウンセリングを有効活用するために大事な3つのポイント

では、夫婦カウンセリングをもっと意味のある時間にするためには、どのようなことを意識するとよいのでしょうか?
ここでは、実際に役立つ3つのアプローチをご紹介します。
1:自分はどうしたいのか?「自分の望み」をはっきりさせる
カウンセリングを受ける前に、まず自分自身に問いかけてみてください。
「私はこのカウンセリングを通して、何を得たいのか?」
たとえば、「関係を修復したい」「冷静に話し合いたい」「自分の気持ちを整理したい」など、人によって目的はさまざまです。
この望みが明確になっていると、カウンセリングの時間もブレずに進めやすくなります。
まずは、自分の気持ちを正直に見つめること。
それが、前に進むための第一歩になります。
2:夫婦で「目指すゴール」を話し合う
カウンセリングを始める前や、初回のセッションで、夫婦で話し合ってみてください。
「この時間を、何のために使いたいか?」
たとえ意見が違っていてもかまいません。
「今すぐ仲直りしたい」人と、「まずは落ち着いて話せるようになりたい」人とでは、目標は違っていても、「よりよい関係を築きたい」という思いは共通しているかもしれません。
小さな共通点でも、それを確認し合うことで、カウンセリングの時間に方向性が生まれます。
夫婦として「何を目指すのか」を話し合うことは、関係を前に進める大切なステップです。
3:「わかってもらう」より「わかろうとする」気持ちを大切に
夫婦関係の対話では、「自分の言い分を伝えること」に気持ちが集中しがちです。
でも、もっと大切なのは、「相手はなぜそう思うのか?」を理解しようとする姿勢です。
・その言葉の裏に、どんな感情があるのか
・その行動には、どんな理由や背景があるのか
そうやって相手の立場に立ってみることで、これまで見えていなかった思いや事情に気づけることがあります。
その気づきが、すれ違いを少しずつ減らすきっかけになります。
利用者の声:正直、カウンセリングは一度でやめるつもりでした(40代男性)
初回のカウンセリングは正直、最悪でした。
妻は泣いて、僕はイライラして、何を話せばいいのかもわからず…。
帰り道もほとんど口をきかず、「やっぱり無理かもな」と思っていました。
でも数日たって、なぜか自分から「もう一度だけ行ってみよう」と言っていました。
このまま終わらせていいのか、どこか納得できない気持ちが残っていたんだと思います。
2回目、3回目と重ねるうちに、妻の言葉の裏にある不安や寂しさに少しずつ気づけるようになりました。
同時に、自分も無意識に責めるような言い方をしていたことに気づきました。
今では、お互いに感情をぶつけ合うより、「どうしたら前に進めるか」を一緒に考えられるようになりました。
最初であきらめなくて、本当によかったと思っています。
まとめ:目的を共有し、自分から変化の扉を開く勇気

夫婦カウンセリングがうまくいくかどうかは、
「相手を変えたい」気持ちよりも、「自分の心と向き合い、変化を受け入れる勇気」にかかっています。
そして何より大切なのは、夫婦として「何を目指すのか」を、ふたりで共有できていることです。
それが、関係を修復するための確かな出発点になります。
たとえ関係がこじれてしまっていても、そこに至るまでには、お互いに傷ついた理由や背景があるはずです。
それをカウンセラーと一緒に、少しずつ丁寧に振り返っていくことで、これまで気づけなかった相手の思いや、自分の心の奥にある感情が見えてくることがあります。
だからこそ、すぐにあきらめてしまう前に、まずは自分自身に問いかけてみてください。
「私は本当に、何を大切にしたいのだろう?」
その問いに向き合うことが、今の関係を見つめ直すきっかけになります。
そして、お互いの言葉が少しずつ届くようになったとき、ふたりの関係も、少しずつ動き出していくはずです。
関係を変えるには時間もエネルギーもかかります。
でも、ひとつずつ対話を重ねていくことで、「変われる関係」があります。




